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Chap.5-10 Black of Night -闇夜-   [Chapter5 空中都市]

 とろりとした闇の中で、蝋燭の炎が三つ、金の蛍のように瞬いている。夜の隙間風が内緒話でもするように歪んだ窓枠をカタカタと鳴らすたび、橙色の炎がゆらゆらと揺れる。
 揺れる火影に合わせるように、煤けた天井に映るヴァンの黒い影も、幽霊みたいに歪んで踊った。

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Chap.5-9 Tag the Tagger! -追って追われて- [Chapter5 空中都市]

「おい、待てって!」
 ヴァンは逃げるラモンの小さな背中に向かって叫んだ。だが、ラモンは振り向きもせずに真っ直ぐに元来た方角に走っていく。小柄な体でヴァンにも負けない逃げっぷりだ。
「待てって言ってるだろ!」

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Chap.5-8 Secret of the Magicstone-魔石の秘密- [Chapter5 空中都市]

 執政官ヴェイン・ソリドールがラバナスタに帰還して、その痩躯を執政官室の椅子に埋めるや、待ちかねたように帝国将校の一人が報告に参上した。
「閣下の御推察どおりでありました。」
 将校は感服したという表情を顔中に表しながら言った。

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Chap.5-7 The Sunia Parallel Bridges -スーニア平行橋- [Chapter5 空中都市]

 精緻な石組みが連なる巨大な坑道も、やがてだんだんと細くなり、奥へ進むほどに剥き出しの土壁に変わった。空気も徐々に湿り気を帯びて重く淀んでくる。冷たく鈍く光るトロッコレールに沿って駆け足で緩いカーブを曲がると、再び眩しい外の光と強い風がヴァン達を見舞った。

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Chap.5-6 The Lhusu Mines -ルース魔石鉱(2)- [Chapter5 空中都市]

 闇色の翼が音もなく迫る。淡い光に濡れた牙が白く光る。
 ヴァンは石の階段を駆け下りながら、群れ飛ぶスティールへと短剣を翳した。
「それっ!」
「キ    ッ!!」
 一撃を受けたコウモリは風に散る木の葉のようにクルクルと墜ちていく。

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Chap.5-5 The Lhusu Mines -ルース魔石鉱(1)- [Chapter5 空中都市]

 ヴァンは目の前に広がったガランとした広場を見渡した。
 白い敷石が日差しを照り返す円形の広場には、行き交う採掘作業員の姿も警備兵の影も無く、坑口の崖を縁取る緑の木々が風にザワザワ鳴る音だけが、やけに大きく聞こえる。

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Chap.5-4 To the Mines -魔石鉱へ- [Chapter5 空中都市]

「都合により、こちらは一時的に通行止めです。ご迷惑をおかけしておりますが、どうか御理解とご協力をお願いしたくあります。」
 その帝国兵は、背筋をピンと伸ばして、ヴァンを相手に鯱張った敬礼をした。

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Chap.5-3 Sovereign state -独立国-   [Chapter5 空中都市]


「先ほどはありがとうございました。」
 バルフレアの隣をキビキビとした足取りで歩きながら、ラモンは言った。

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Chap.5-2 The Skycity of Bhujerba -空中都市ビュエルバ- [Chapter5 空中都市]

「ビュエルバは代々オンドール侯爵家が治める中立国です。領土こそ広くはありませんが、質のいい魔石を算出するルース魔石鉱があるため、とても豊かな街です。良質な魔石はいろいろなエネルギー源として使えるので、高値で取引されるんですよ。」

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Chap.5-1 Puer -少年- [Chapter5 空中都市]

 高地の強い日差しを逃れた風が、ターミナルの長いロビーを吹き抜ける。
 空中都市ビュエルバの飛空艇ターミナルは、意外なほど静かだった。
 観光客で賑わう街の割にはロビーを行き交う人々の姿はまばらで、一番響く足音は落ち着かなげに歩き回る数名の帝国兵の足音だった。

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